 「かかりつけ医」をもとう
2013年1月23日 水曜日 桐生タイムス社
年末年始に帰桐した友人や普段はなかなか会えない人と談笑し、
酒を飲み交わしました。共通した話題の一つは教育や地域医療に
関するものでした。
病気にかかったとき、多くの人が思うのは、「一流の病院で安心して
最良の治療を受けたい」ということだと思います。でも、現実には
そういうわけにはいきません。
2011年度の医療費は、国全体でも群馬県でも9年連続で前年度比
増となりました。金額にすると、国では、約37兆8000億円、県では約
5739億円です。
今後も毎年3〜4％の伸びが見込まれていて、介護や年金などを
加えた社会保障費全体の負担増は避けて通れない、という現状が
浮かび上がっています。
医療費を年代別にみると、70歳未満の人は平均17万9千円
なのに対し、70歳以上は80万6千円、さらに75歳以上は91万6千円
となっています。
そして桐生市の高齢化率は30.2％で県内12市でトップ、年少人口も
11.5％でこれまで県内12市で最も高い数字となっています。
また、1人暮らし高齢者も増加傾向にあり、高齢者に対する独身率は
14％を超え、総人数では4968人にも達しています。
こうした状況ですから、医療費の無駄遣いは徹底的に減らして
ゆくべきです。患者さんが複数の医療機関にいって重複受診したり、
検査や薬剤の処方を繰り返し受けていることはただちに、その是正に
向けて対応しなければならないと思います。
また、「自分さえ良ければ」という考えをみんなが持つと、財源は
持ちこたえられません。世界で一番早く「超高齢化社会」を迎えた国
として、今の対応は甘いと言わざるをえません。
さらに、「大きな病院で治療を受けたい」という患者側の考えが、
"大きな病院�瓩亮舛鰺遒箸靴討靴泙辰討い觚従�を、私たちは強く
認識すべきと考えます。軽症でも総合病院にかかるという
�爐劼箸蠅茲�りの愚行�瓩�、勤務医の過酷な労働環境を生んでいる
ことを肝に銘じるべきです。
桐生厚生総合病院はこうした対策のため、2011年2月から
「軽症者の時間外診療費特別料金」を導入しました。が、それも
抜本的な対策ではありません。医師の充足こそが最も大切で
根本的な解決策なのです。
たとえば、医師の数は急に増やせなくても、書類作製などに
かかる時間を代行する「医療秘書」を充実させれば、
勤務医が�狄芭鼎任�る時間�瓩�実質的に増やすことができます。
むかしは大抵の家庭で「かかりつけ医」を持っていました。病気に
なった時だけ診てくれるのではなく、患者の子ども達がどこで
生まれたか、患者の仕事や配偶者についてどう感じているかまで
知っている�爐茲�相談相手�瓩任發△蠅泙靴拭�
患者が痛みを我慢するタイプなのか、それとも仮病を使うタイプの
人間なのかもお見通しでした。
今は違います。医者は患者の病歴どころか、名前を覚えて
くれていたらラッキー、といった具合です。
桐生市、みどり市のみなさん、「かかりつけ医」を持ちましょう。
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