交わり、重い病気にかからないよう注意し、なるべく子どもには迷惑を
かけないようにし、そして静かに自分の意志で自分らしく暮らす。これは
それほどぜいたくな願いではありません。しかし、このままでは相当幸運に
恵まれなければ、かなわないことになってしまいつつあります。
超高齢社会を維持するには、現行制度をそのまま続けることでは不可能です。
これを維持しつつプライマリーバランスを均衡させるには、国民負担率を現行の
40%から70%近くにまで引き上げなければなりません。これは不可能です。
そんな中、社会保障制度改革国民会議の最終報告書がまとめられました。
最大の特徴は、所得の高い高齢者に医療費や税の負担増を求めている点に
あります。「年齢別の負担」から「能力に応じた負担」へと方向性を
転換したわけです。社会保障制度を維持するため、政府がこの改革を実行
できるかどうかです。
ただこれは、要介護の軽い人向けのサービスを介護保険から切り離し、
市町村に移行することが盛り込まれています。掃除や洗濯、買い物など
生活の手助けが自治体によっては、減らされる恐れがあり、よって症状が
進み、より介護が必要な高齢者が増えてしまうことにもなりかねません。
財源の差によってサービスがばらつく懸念があります。サービスの薄い
自治体では要支援者の介護度が重くなってしまい、給付費を抑制するつもりが
逆に介護財政を苦しくしてしまうのではと考えます。
国立社会保障・人口問題研究所が昨年7月に実施した「生活と支え合いに
関する調査」によると、独り暮らしの65歳以上の男性の約17%が2週間に
1回以下しか他の人と会話していない、とあります。同じ女性の場合は
約4%なのです。高齢単身男性の社会的な孤立が特に深刻化してきていて
心配です。
少子化が進み、核家族で老後を暮らす。妻に先に立たれてしまったら、
こうなってしまうのか?そんな姿が見えてきます。家族を大切にと思っては
いるのですが、なかなかうまくいきません。これは自分の「生きざま」の
問題なのです。
社会が成熟して少子化が進み、超高齢化も進み、人口減少社会に
突入しています。未来を見据え、自治のあり方、まちづくり、産業振興など、
新たな姿を今こそ構築する必要に迫られているのではないでしょうか。