 自転車安全利用について
夕刊 桐生タイムス社 2014年9月8日(月)
健康的で、環境にも優しい自転車。しかし、その一方で
自転車による交通事故が後を絶ちません。自転車交通事故は、
対自動車が全体の約８割と圧倒的に多いものの、対歩行者の
事故は10年前の１.６倍強となっており、高額の損害賠償を
請求される事案も増えてきています。
今年も当組合では、各地区において中学・高校を対象に
自転車の無料安全点検や交通安全講話を行いました。
桐生市地区では昨年より中学校が１校増えて５校、高校が
２校で総台数２０３９台中、要整備車両が６５４台でした。
各学校において整備が必要な車両台数の差はありますが、
担当の先生の指導で、その後のフォローが約８〜９割でき、
生徒の安全のためかなりの好結果を残すことができました。
ただ、一般の自転車保険の加入率に関しては
わかりませんが、ＴＳマーク付帯保険の加入状況はまだ
３割と低調でした。１年生はかなりの率で加入していますが、
有効期間が１年であるため上級生のほとんどは更新手続きを
していない状態です。事故を防ぐため年１回は
自転車販売店でＴＳ点検整備を受け、安全性を確認する
必要があります。当組合では来年度も要請のある各学校に
おいて無料安全点検、交通安全講話を実施する
予定ですので、今年末実施の学校も早めに一度お問い合わせ
ください。
「ＴＳマーク付帯保険」とは、年１回
日本交通管理技術協会が認定する自転車安全整備士の
点検・整備を受けると、ＴＳマークというシールを自転車に
貼ってもらえます。ＴＳマークには、賠償責任保険と
障害保険の二つがセットになった一年間の付帯保険が
付いています。
近年自転車利用の高まりの中、自転車が関与する
交通事故の割合が全体の多くを占め、また相手方からの
高額な損害賠償請求事案の判例も多くなってきています。
そのための赤色ＴＳマーク付帯保険は自転車の安全利用の
促進と被害者救済の充実をより一層有用なものとするため、
今年１０月１日から改定がなされることとなりました。
改定内容は
�’綵�責任保険の限度額を２０００万円から
５０００万円に引き上げ
�∋�故の相手方が入院１５日以上の場合、事故の
相手方に一律１０万円の被害者見舞金を給付
―の２点です。�△慮�舞金は新たに創設されたものです。
なお、傷害保険に関しては、現行通り
�〇猖粥�重度障害（１〜４級）に一律１００万円
��入院１５日以上の場合、一律１０万円
―と変更はありません。
１０月１日からの点検料金は補償内容の引き上げを
鑑みて、かなりの値上げが予測されます。現行は
「２０００円から」ですが、自転車利用者のために
引き上げ後もできるだけ販売店の理解を得て、
「２２００円から」と抑えたいと考えています。
保険の対象者は、家族はもちろん他人に貸して事故を
起こした場合も補償されます。子どもを専用シートに
乗せた場合でも、全員が補償対象となっています。
桐生市が購入補助金を出している電動アシスト車も
当然対象となります。
また、桐生市は高齢者の自転車利用が多いまちですから、
高齢者が事故に遭わずに安全に乗ってもらうために、
高齢者の自転車の無料安全点検および、交通安全講話の
必要性も考えています。どうしても高齢者になると、
体力の衰えから判断力や反射神経が落ちてくる傾向が
あるので、一人ひとりの交通安全の意識向上の面からも
必要であると考えています。
そのため、自治体は交通事故防止という観点から、
自転車の安全講習会を開催し、高齢者の自転車利用者に
参加したいと思わせる工夫をするべきでしょう。
例えば、安全講習会に参加すれば「ＴＳマーク付帯保険」
を割り引くなどの特典をつけてみてはどうでしょうか。
他の自治体の例では、講習会参加者が増えるにつれて、
事故件数が減少したという事例もあります。
自転車に乗るとき、忘れてはいけないのが周囲への
気配りとマナーです。全ての人が安全で、快適に道路を
利用できるように、一人ひとりがきちんとルールや
マナーを守ることが大切であると考えています。
群馬県自転車協同組合 常務理事 河原井 始
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